9月26日に発売されたガストのアトリエシリーズ新作、「ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~」を買った。今、絶賛プレイしている真っ最中である。
クリアしてから感想を纏めようと思ったのだが、僕の想像をはるかに超えたクオリティであったため、たった5時間(厳密には4時間51分)しかプレイしていないにも関わらず、ここで良さを書き連ねていこうと思う。もし1記事でまとめようものなら、語るべき部分が多すぎてきっと長ったらしいものになるに違いない、という判断であるがゆえ、勘弁して頂きたい。
ちなみに、僕がプレイしたことのあるアトリエシリーズは「不思議シリーズ」の「ソフィー」と「フィリス」だけである。特に好きなのはソフィー。
とにかく何もかもが丁寧な作り
まず特筆すべき点は何を置いてもまず、圧倒的な「丁寧さ」だと言える。
丁寧さ、と一口に言っても色々な意味が含まれているから、詳しく説明すれば長くなってしまうが、それでも簡単に表してみると「感情移入」または「没入感」をどれだけしっかり行なっているか、ということになる。
要は、プレイヤーを置いてきぼりにさせていないか、という点だ。
きちんとシナリオに沿って、ゲームシステムを少しずつ解放させていく。これにより、プレイヤーの興味が持続されて、続きが気になりプレイが止められなくなるのである。先へ進めば新しい要素、展開が待っていると分かっているからだ。
この点、ライザのアトリエは凄まじく慎重かつ丁寧にプレイヤーを先の展開へと導いたのではないか、と思う。
何より驚いたのが、素材を採取し、錬金術でアイテム作る……ということよりも先に、まず戦闘をプレイさせたことだ。これには流石にびっくりした。けれど、これが英断であったことは間違いない。
主人公のライザは刺激(自由?)を求めているキャラクター(例えるなら超常設定のないハルヒ)。それで仲間を引き連れて、普段大人たちが近寄らない場所へ冒険へ行くわけだが、そこには当然魔物もいる。そこでの戦闘がバトルのチュートリアルとして機能し、しばらくプレイヤーは敵と戦っていくことになる。

しかし、あるい程度進めると非常に強力な魔物が現れて、主人公たちはボコボコにされてしまう。いわゆる負けイベントというヤツだ。
そんな彼女らの窮地を救ったのが、他でもない錬金術だ。ここでライザは強く錬金術に興味を惹かれるようになる。
プレイヤーとライザは「誰かの錬金術」によって救われた……という共通の出来事によってシンクロする――言いかえれば、感情移入だ。
だからライザと同じように、プレイヤーも「錬金術」に惹かれて「ああ、ここから錬金術関連のパートに入るんだな」と察することができる。つまり「興味の持続」。
この丁寧さは、なかなか他のゲームでも見られない。
そして驚くべきことに、ずっとこの丁寧さが続いて行く。
リアリティのある世界設定とキャラクター
今作は、とにかく舞台設定がしっかりしている。
クーケン島という小さな島がライザたちの住んでいるところで、都会では無く、田舎である。

農業が盛んで、「クーケンフルーツ」と呼ばれる特産物がある。このクーケンフルーツが王都の方で話題になり、都会の方からクーケン島の方へ販路の確保だの何だとの、そういった取引をするために、外界の人間が訪れてくることになる。
ライザたちの冒険とは別口で、この取引の関係からも物語が始まる。ライザたちの物語では無く、クーケン島の物語という少しスケールの大きい物語だ。その商団の長の娘が、主要キャラクターである「クラウディア」となるわけだ。
さらにこのクーケン島には古代の遺跡などがあちこちに見られる。
遺跡の調査を行うために訪れた二人のキャラクター、「アンペル」と「リラ」は、ライザや、その仲間である「エント」や「タオ」たち三人にとっての師となる重要なキャラクターだ。
この古代の遺跡がうんぬん……という設定は(まだプレイ5時間なので全く情報がないが)おそらく話が進むにつれてシナリオの全面へと出てくるようになり、最終的にはここがクライマックスになるのだろうと思われる。
ライザたちの物語。クーケン島の物語。そして最後に、世界の物語(ちょっと誇張しすぎか?)という風に、少しずつ風呂敷を広げていき、プレイヤーの興味の持続を図るつもりなのだろう。
そして、特に細かくリアリティがあると感じた部分は、「田舎で権力があるのは、水源を持っている人間」という設定。
これはかなり現実的な設定である。けれど、もしこの設定が無かった場合、深みが全く異なるし、没入感は確実に薄れるだろう。無いより有った方が確実に良い、と言える。
ちなみに、上記の設定から生まれたキャラクターというのが「ボオス」と「ランバー」だ。この二人は水源を有する権利者たちの息子であり、ライザたち三人を見下す、いわばジャイアン的ポジションのキャラクターだ。まだ5時間しかプレイしていないにも関わらず、結構ウザい。
そして、ライザたちの物語というのが、ボオスとランバーという同年代のキャラクターと対立し、どう乗り越えて行くか……というところになるのだろう。
また、今作のシナリオは「大人と子供」の対立、ひいては「親と子」の構図がよく見られる。安定を求めるのか、刺激を求めるのか……というテーマにも見えるか。現代人にとってはどちらの立場にもある程度の理解が示せる以上、そういった社会的なテーマを意図的に持って来たのだとも、僕は思ってしまう。もちろん、これは没入感を高めるため良いことだと思う。
まあ、つまり。
プレイしていて感じることは、とにかく「全てが計算しつくされており、妥協がない」ということだ。
ここで、僕が個人的に「ディティールがすごい!」と思ったスクリーンショットを公開しよう。

分かるだろうか、屋根裏へと続くこの「ありえないぐらい急な階段」を。
もはや梯子と読んでしまっても差支えないこの階段の角度が、僕にとてもつもない「リアリティ」を感じさせたのだ。
この階段を見て、「ああ、メインに関わらない部分にもこだわりを持って制作されたのだな」と僕は確信するに至ったのである。いや、冗談抜きで。
「面白さ」が拡張され、増殖していく
ライザのアトリエは、面白さを感じる要素がどんどん増えて行く。
例えば、初めて採取が出来る様になった時もそうだ。
今までは「綺麗な町」だったマップが突然、素材に満ち溢れるようになる。これは本当に感動して、思わず感嘆の息を漏らしたほどだ。(なぜなら、ライザが「錬金術師として景色を見た」瞬間に、プレイヤーの見る画面でも「ライザの視点」が直接反映されるから。またしてもライザとのシンクロが図られ、感情移入がより強度なものなる)
要は、綺麗な景色という楽しさに加えて、採取という楽しさがマップに追加されるのだ。
そしてその「採取」も同様に、最初こそ採取の方法が限られているが、しばらくゲームを進めると様々な「採取道具」を自作できるようになる。「草刈り鎌」「薪割り斧」などなど……。
これらを使うと、同じ採取ポイントでも、別の素材が手に入るようになる。
つまり、「1つの採取ポイント」に「複数の採取方法」が含まれるわけだ。
また戦闘でも、最初の戦闘では通常攻撃とスキルを駆使して戦うが、錬金術を覚えてからでは「アイテム」という選択肢が増え、とり戦略的に戦うことが出来る様になる。これも、戦闘における「複数の面白さ」の一つだろう。
またまた調合でも同じことで、同じアイテムを調合するにしても、毎回やりかたは違う。なんなら錬金術レベルが上がった後や、新しい素材を手に入れた後では、同じレシピから違うアイテムが作れるようにもなる。「1つのレシピ」から「複数の可能性」である。
このように、「1つのものに、複数の面白さ」という構図がこのゲームでは採用されているのが分かる。
たった5時間のプレイでこの量の発見なのだから、今後のプレイが非常に楽しみで堪らない。
以下のスクリーンショットは「1つのマップ」の時間帯による「複数の綺麗さ」を表したもの。


現時点での評価は☆5
まとめると、神ゲーです。
長々と総評を書き連ねる気はないので、これだけ言ってもう退散しようと思います。
だって早く続きをプレイしたいんですもの。
最後にもう一度言いますが、神ゲーです(大事なことなので)。
ライザのアトリエ公式サイト→ https://www.gamecity.ne.jp/atelier/ryza/
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